近年、時効問題や隣接者間においての境界紛争などの境界問題に関する問い合わせが多くなっております。
筆界と所有権界という言葉をご存知でしょうか。
筆界とは、公法上の境界であり、私人(個人)が自由に動かすことは出来ない土地の境です。
所有権界とは、私法上の境界であり、私人(個人)間の取り決め等により自由に動かすことが出来る土地の境です。
土地の所有者様方におかれましては、境界確定協議において合意により境界の取り決めをすることはございますが、この行為には次のような意味がございます。
・土地家屋調査士が既存の測量図等の図面を元に筆界の位置を提示し、その筆界について私人 (個人)間で異議が無いことを確認する。
・筆界と所有権界に相違が無いこと若しく相違が有ることを確認し、相違がある場合には分筆登記・所有権移転登記などの方法により、筆界と所有権界のズレを解消する。
では実際に相隣者間で境界についての意見の相違があった場合、境界問題や境界紛争を解決する手段としては以下のような方法がございます。
●境界確定訴訟
境界確定訴訟(裁判手続)にて、確定判決により新たに筆界を創設する。
その際は、所有権の争いのある土地の 部分についての所有権の帰属についての訴訟を合わせて提訴するかと思います。
詳しくは弁護士へご相談下さい。(当方から紹介することも可能です。)
●筆界特定制度
筆界特定制度を利用して、登記所(法務局)により従前の資料や状況等から筆界の位置(又は範囲)を特定する。
裁判と比較して、時間的にも費用的にも土地所有者の方々への負担の軽減を主旨の一つとする新たな境界紛争の解決手続として期待されている制度でございます。
●ADR(裁判外紛争解決手続き)
ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用して、第三者(土地家屋調査士・司法書士・弁護士)の仲裁や意見により、 境界(所有権界)について和解を行い、筆界と相違する部分については分筆登記・所有権移転登記などの方法により、筆界と所有権界のズレを解消します。
状況により様々な解決手段があるかと思います。
境界でお悩みの方は、あなたの身近な土地家屋調査士にご質問頂ければ、具体的な手続き方法や費用などで力になってくれるはずです。